マイホームを譲渡した場合の特例

 売却した不動産がマイホームである場合は、3,000万円まで控除ができる制度(居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例)がり、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から控除を受けることができます。

 マイホームとは(概要)

〇 居住用財産のことで、自分が住んでいる建物を売ること。なお、すでに退去している場合は、住まなくなった日から3年目を経過する日の属する年の12月31日(年末)までに売ることが要件となります。

<居住の実態> 

〇 マイホームというには住民票があるというだけではなく、あくまでも居住の実態で判定するのが原則です。住民票を移したとしても、実際にそこに住んでいなければ「3000万円」の特別控除の適用を否定される場合があります。逆にいえば、売却の際に住民票以外の住所に居住した場合でも、居住の実態があれば、適用の見込みがあるということになります。

居住していたかどうかが争点となった
国税不服審判所の裁決事例があります。
(平成10年3月20日裁決)

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<状況>
○ 相続により取得した土地にマイホームを建築
○ 平成6年4月25日に入居
○ 平成6年7月15日に売却
売却益について「3,000万円の特別控除」を適用した。

<納税者の主張>
短期で売却したのは、
○ 当初は結婚後の新居のために建築したが、
同年6月に婚約を解消したこと
○ 借入金の返済が一人では不可能となったこと
が理由で、特例の適用を目的にしたものではない。

<審判所の判断>
以下の状況などから居住していたとは認めらず、
「3,000万円の特別控除」の適用は認められない。
○ 電気の使用料金
平成6年7月・・・2,990円
平成6年8月・・・4,747円
○ 水道の使用量
平成6年4月~5月・・・9立方メートル
平成6年6月~7月・・・7立方メートル

水道の使用量については、
家庭用のユニットバス1回あたりで、
約1立方メートルであるが、
2ヵ月で各7~9立方メートルと少ないため、
「生活の本拠」として利用していたとは到底認められない。
(他にも否認のポイントが数点あるが省略)
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実際には、買い主と数年前から打合せのうえで、
売却を進めたような状況証拠はあるのですが、
審判所の否認ポイントのうち、
明確な数字で示したのは水道の使用量の少なさです。

「生活の拠点」としていたかどうかの客観的な根拠として、
電気や水道やガスの使用量はよく使われます。

過去に私がおこなった実際の申告例で、
居住の実態が微妙なケースで、
「3,000万円の特別控除」を適用したことがあります。

○ 父から相続取得の東京のマイホームを売却
○ 4,000万円程度の売却益が生じた
○ 転勤がちで住民票は大阪
「生活の拠点」が東京と大阪どちらかということになります。

当人の主張を書面にまとめました。
○ たまたま大阪への転勤で住民票は大阪にあったが、
○ 「生活の拠点」は東京にあり、
○ 電気代、水道代は生活に足るだけ利用している、

会社に入社してからの転勤状況を記載して、
電気代や水道代の明細書のコピーを申告書に添付しました。
その後は税務署からの問い合わせは一切ありません。

住民票が売却したマイホームになくても、
「生活の拠点」がそこにあり、
書類でそのことが説明できれば、
「3,000万円の特別控除」は認められるのです。

 

<建物を解体した場合>

イ 底地の譲渡契約が建物の解体日から1年以内に締結され、かつ住まなくなった日から3年目の年末までに売ること。

ロ 解体から譲渡契約までの間に、その敷地をその他の用途(駐車場など)に供していないこと。

 

 適用が認められないケース

このマイホームを売ったときの特例は、次のような家屋には適用されません。

  • この特例を受けることだけを目的として入居したと認められる家屋
  • 居住用家屋を新築する期間中だけ仮住まいとして使った家屋、その他一時的な目的で入居したと認められる家屋
  • 別荘などのように主として趣味、娯楽又は保養のために所有する家屋