先日、ヤフーニュースで長島一茂氏が「父の財産については相続放棄をした」という趣旨の発言をしたという記事を読んだけれど、これも間違いですね。相続放棄は、生前には、どんなことがあってもすることはできません。これに例外はありません。
おそらく、一茂氏は「自分は何もいらないよ」と兄弟に告げたか、あるいはそのようなことが書いてある書類にサインをしたのでしょうが、いずれも法律的にはまったくの無効です。
この場合、一茂氏の発言の趣旨を実現するためには、長島茂雄氏に「自身の遺産はすべて他の相続人に対して相続させる」旨の遺言を書いてもらい、その上で一茂氏が「遺留分の放棄」をすれば(そして、父の死亡後に相続放棄をすれば)、実質的に相続放棄をしたということと同じ効力が生じます。厳密にいえば違うのだけれど、少なくともプラスの財産についてはそうなります。
いずれにせよ、「相続放棄」というのは、裁判所に対する申述によって初めて認められるものであり、個人間の取り決めによって法律的な効果が生じるものではありません。そして、繰り返しますが、被相続人の生前に、相続放棄ができる方法はまったくありません。