最近、やけにハンコへの風当たりが強いですが、個人的には「実印」は現状のままにでいいと思っています。ハンコといっても、意味のない「認印」と印鑑登録している「実印」とではまったくその意味合いが違って、「実印」は本人の意思確認を証明するために利用されており、例えば、遺産分割協議書に相続人が「実印」をついて印鑑証明書を添付することで「相続人全員」の同意があったということで手続が進むのです。
これを「ハンコは要らない」という一時のムードに流されて「実印」までなくしてしまったら、どうなるでしょう?
遺産分割協議書をファイル化し、相続人全員が電子登録をした上で、そのファイルに電子署名をしなければならないというような状況になるのしょうか。だとしたら、それはそれで結構大変なのではないでしょうか? 少なくとも高齢者はついていけないでしょうし、また、それで「本人の意思確認」とみなすことができるかどうかも疑義があります。なにより、相続人が多数になった場合にはどうしたらいいのか検討もつきません。
もしかしたら、「ハンコは要らない」といった流れの先には、「だからマイナンバーカードを作りましょう」ということになるのかしれないしね。
個人的にはマイナンバーカードは持っているのでどっちでもいいのだけれど。
ということで、なくしていいハンコは「認印」に限定して表現した方がよく、「ハンコは要らない」といった雑な「見出し」には少し危惧しております。「実印」がなくなれば、今よりずっと煩雑な手続きが必要になると思いますよ。
何事も、そのままでいいものはそのままにしておくことも大切なんじゃないでしょうか
追記.
ファックスは要らないと思います。