離婚(財産分与)と不動産取得税
- 財産分与とは、婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産を清算することです。不動産の名義が夫名義となっていたとしても、婚姻期間中に取得した財産であり、妻の協力や貢献によって形成維持された財産は夫婦共有財産として考えられます。妻が専業主婦であった場合も同様です。
- このうち不動産に関していえば、①婚姻期間中に②購入した不動産が財産分与の対象になります。つまり、婚姻前から所有していた不動産や、婚姻期間中に相続をした不動産は含まないということです。
- ①婚姻期間中に(× ‥婚姻前から所有していた。離婚後に財産分与されたお金で買った)
- ②購入した(× ‥相続した、贈与を受けた)
不動産の名義変更をする際にかかる税金
登録免許税 | 法務局に名義変更をする際に支払う税金です。登録免許税には減免措置はなく、必ず支払わなければならない支出となります。
税率:固定資産税評価額の2% 具体例)不動産の評価額が1,000万円なら20万円 |
贈与税 | 【原則】非課税
○ ただし、以下の場合には課税対象となる場合もあります。
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不動産取得税 | 【原則】課税(課税されるのが原則です)
○ 特に課税の対象となる場合(下記、法的性質参照)
○ 「減免」の対象となる場合 ・「清算的財産分与」による財産分与の場合 |
・このぺージでは上記のうち、不動産取得税について説明しています。
不動産取得税について、詳しくは各都道府県のサイト等で説明されているはずですが、このページは、その説明を読み方の説明ということになります。地元大阪のホームページは次からリンクしています。おそらく内容はどこの都道府県でも同じはずです。
〇 建物:固定資産税評価額の3%(住宅)
〇 土地:固定資産税評価額を1/2した額の3%
・固定資産税評価額は、毎年、春に役所から送付される「固定資産税納税通知書」に同封されていることが一般的です。手元にない場合は、役所の「固定資産税課」等で取得できます。
不動産取得税の減免を受ける要件
○ 財産分与であるかどうかに関わらず一般的な要件です(新築物件の説明は割愛します)
- 通常、財産分与では、住み続ける方が不動産を取得するため、この一般的な「居住用家屋に関する減免」措置によって相当額が減免される計算となり、計算上は、ほとんどの場合で不動産取得税がかからないのが一般的です。
- この一般的な居住用不動産の要件に該当し、計算上、不動産取得税がかからない場合には、後記する「離婚による財産分与についての減免の要件」については検討する必要がありません。
<軽減を受ける条件>(①②③に該当したら対象となります)
a :昭和57年1月1日以後に新築されたもの b:aに該当せず、建築士が証明したもの(稀な場合なので説明は割愛します) 【控除される額】
建物の不動産取得税額の減額の計算
東京都主税局のサイトでチェック計算できますのでお試しください。 たとえ「0」にならなくとも、残った額のさらに0.03を掛けた額が建物についての不動産取得税ということになりますので、それほど高額にはならないと思います。 以下、土地について【住宅用土地に係る減額】
土地の不動産取得税の減額の計算建物の計算と違うのは「当初税額」から「上記の算出額」を控除すること。 大阪府のサイトでは土地の評価額が2400万円(120㎡)と設定されているので、それに合わせて以下、計算をします。 1.「当初税額」 土地の場合は評価額の2分の1が基準になるので、 2400万円 × 1/2=1200万円 そして、それのさらに ×0.03 ということで 36万円(当初税額) 2.「減額される額」 土地1㎡あたりの価格は、2400万円の2分の1の額を㎡数120で割った額なので、 ( 2400万円 × 1/2) ÷ 120㎡ = 10万円 となります。 それに床面積の2倍(但し、200が限度)を掛けた額の3%が減額される額。 10万円 × (120×2>200)= 2000万円 2000万円 × 0.3 = .60万円(減額される額) 3.よって、当初の額から減額される額を引くと 36万円 - 60万円 = -24万円 はマイナス(0)になり、結局、土地に関しても非課税という計算になります。 |
ここまでが、一般的な居住用不動産に関する不動産取得税の減免の説明となりますが、上記の条件に合致した場合、以下の財産分与に関する要件は検討する必要はありません。
財産分与に関して検討する減免の要件
<財産分与の3つの性質>
清算的財産分与 | 夫婦が婚姻期間中に築いた財産の清算 |
慰謝料的財産分与 | 財産分与に慰謝料を含ませること |
扶養的財産分与 | 離婚後の経済的弱者に対する扶養で、自立をするまでの援助として支給されるもの。清算的分与も慰謝料も請求できない場合、またはそれだけでは生活できない場合に認められるものです |
上記の財産分与の性質のうち「清算的財産分与」に該当する場合には、不動産取得税が減免されるとされています。(個別的には各事務所へご確認ください)
〇 すなわち、「清算」の場合は「もともと自分が持っていたもの(新たに取得したわけではない)」を離婚のきっかけに名義変更したにすぎないと考えるのに対し、「慰謝料」や「扶養目的」で財産分与された場合には「離婚によって新たに取得した」と考えるので不動産取得税が課されることがあるということになりますので、離婚協議書などを作成する場合は注意が必要です。 |
よって、個人的に離婚協議書を作成する場合は、離婚の原因に関わらず「慰謝料」という文言を記載する場合は慎重な検討が必要になります。他の事情と考慮し総合的に検討することが必要です。この点、「調停調書」や「公正証書」で作成する場合は、裁判所や公証役場の方で、そのあたりは考慮した文言を選択してくれるのが一般的です。
不動産取得税の納税通知書が届いたら
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譲渡取得課税(財産分与者側の課税関係)について
- 財産分与する側の方で考慮しなければならないのが「譲渡取得税」です。
- わかりにくいのですが、税務署は「財産の分与をした者は、その財産の移転により、離婚に伴う財産分与の義務を消滅させたという経済的利益が生じた」という考え方をするのです。したがって、財産分与した不動産が購入時よりも資産的価値が上がっていた場合には、その経済的利益の額を収入金額として資産の譲渡をしたことになります。そして、その「分与したときの価額」は、固定資産税評価額や相続税の評価額(路線価)などではなく、時価(通常の流通価額)を基に計算します。譲渡益課税の計算は、通常の売買等の場合と同様です。
しかし、実際は、中古不動産が値上がりすることは一般的ではないことから鑑み、大部分は「譲渡損」となることが多く、実際は不要なケースが多いです。なお、その場合は、分与者側に、他の不動産に関する譲渡利益があれば、その「譲渡損」を通算して計算することができます。なお、値上がりして場合には「居住用財産の譲渡にかかる特別控除の特例」を検討することになりますが、ここでは割愛させていただきます。
調停離婚による不動産の名義変更
報酬 | 実費 | |
登記確認 (ネット謄本) | 335 ×不動産の個数 |
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名義変更登記申請 | 48,000 | 不動産評価額 ×0.02 |
(※)名義人(分与者)の住所変更が必要な場合 | 4,700 | 1,000 ×不動産の個数 |
(※)共有名義の場合、氏名変更が必要な場合 | 4,700 | 1,000円 ×不動の個数 |
戸籍等の代理取得 | 1,000 ×取得通数 | 実費 |
税評価証明の取得 | 1,000 ×役場数 | 実費 |
完了謄本 | 500 ×不動産の通数 |
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合計 | 報酬 合計額① | 実費 合計額② |
消費税 | 税額③ | |
総額 | ①+②+③ |
協議離婚による名義変更
【お見積りについて】 🔶「公正証書」がある場合は「離婚協議書」の作成は不要です。 🔶(※1)は登記の内容によって必要となる場合がありますが、(※2)は必ず登記しなければならないものではありません。 |
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報酬 | 実費 | |
事前登記確認 | 334 ×不動産の個数 |
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登記申請 | 38,000 | 不動産評価額 ×0.02 |
離婚協議書 (登記原因証明情報含) | 10,000 | |
(※1)財産分与者の住所変更が必要な場合 | 4,700 | 1,000 ×不動産の個数 |
(※2)共有の場合で、氏名変更も同意にする場合 | 4,700 | 1,000 ×不動産の個数 |
完了謄本 | 500 ×不動産の個数 |
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郵送費 | 実費 | |
合計額 | 報酬 合計額① | 実費 合計額② |
消費税 | 税額③ | |
総額 | ①+②+③ |