- 自筆証書遺言とは、自分自身で作成する遺言書のことをいいます。
- 自分で作るので費用も掛かりませんし、誰かに頼む必要もありません。
- ただし、要件が厳格で、その要件に該当しない遺言書は無効となり、少なくともその遺言書で公的な手続きをすることができません。
- 「自筆証書遺言さえあれば」というケースも少なくありませんので、まだ遺言書を書いたことがないという方は、まずは自筆証書遺言を書いてみることをお勧めいたします。
〇 2020年7月から法務局において自筆証書遺言を保管してくる制度がはじまります。
自筆証書遺言の要件
〇 特に難しい要件があるわけではなく、次の4つの要件を満たしていれば有効な遺言として認められます。逆にいえば、4つのうち1つでも欠けていれば無効な遺言書となってしまいますので注意が必要です。
【民法968条】
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この条文を分解すると次のとおり。
次の①②③の3つを自著(自分で書く)すること。
そして、①②③が書かれた遺言書に ④ 押 印 すること。
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ここがポイント
1.簡単な遺言書にすること。
あまり細かく記載すると誤記などがあった場合の対応が難しくなります。 例えば、
これくらいの遺言書でも十分といえば十分です。 2.特定すること 上記1でも記載していますが、遺言者が死亡したのち、遺言書を使って不動産の名義変更や預貯金の払い戻し手続きをすることを考えると、「ちゃんと特定されているか」ということが重要なポイントとなります。 上記の遺言書でも、
これくらい特定すると、ぐっと遺言書らしくなります。
特に重要なのは③の「すべて」という文言を添えること。 例えば「私の財産は妻に相続させる」としか書いていない場合、金融機関の中には、「うちの預貯金はその財産に含まれるのかどうか判断しようがない」という解釈で、結局、「相続人全員の署名と押印をもらってください」といわれるかもしれません。「すべて」と書いてあれば、まさしく「全部」なわけですから十分に特定されているということになります。もう少し細かく書く場合も、「ちゃんと特定されているか」を意識して書くように心がけてください。 3.封をしないこと これは逆の説明をする専門家もいると思いますが、封がしてあることは遺言の有効無効の要件ではありません。それに対し、封をしている遺言書を検認の前に開封した場合は5万円以下の過料に処せられます(民法1005条)。但し、開封した場合であっても遺言の有効無効とは関係がなく、遺言書の有効無効はあくまで遺言書の様式のみで判断されます。 遺言は、あとで気が変わったら何度でも書き直すことができますし、その際に、以前に書いた遺言書の中身を自分で確認できた方が便利かと思います。 勿論、封をしたからといって悪いことはありませんので自身でご判断下さい。 |
自筆証書遺言の報酬及び費用
- 簡単な遺言を残される場合は、上記を参照してご自身で作成されれば十分だと存じます。
- ある程度、込み入った内容のものを、自筆証書で作成する場合は下記の報酬規程によります。ただ、ある程度、内容が込み入っている場合は、やはり公正証書遺言を残しておくことをお勧めしております。
- 加算対象となる特別な事情は、①遠方、施設への出張(10,000円程度)、②意思能力に疑義がある場合の医師の診断書等のアレンジ(10,000円程度)などが考えられます。成果物としては、こちらで遺言書の内容を起案し、それをご自身で作成されたものを確認するという内容になります。
- ただ、市販の本やインターネット上のサンプルを参照して書かれたら十分かと思います。
- 相談の場合、ノウハウの相談はご遠慮下さい。
報酬(税抜き) | 費用 | |
自筆証書遺言 | 30,000 | 実費 |
その他特別な事情がある場合(出張費など) |