親子間(祖父母から孫へ)の贈与
相続時精算課税制度
- 一般的に、親子間において不動産の名義を贈与により変更する場合には、「相続時精算課税制度」の適用を前提として検討します。「相続時精算課税制度」とは、親から子へ(祖父母から孫へ)生前贈与しやくするために認められた制度であり、贈与税と相続税を一体化した課税制度です。
- 2500万円(住宅取得資金の場合は3500万円)まで非課税で贈与が可能ですが、不動産そのものを贈与する場合については「登録免許税」「不動産取得」は原則掛かります。
- 超過分は一律20%の贈与税を支払いますが、相続時において相続税額からその額が控除されます。控除しきれない金額は還付を受けることできます。
「相続時精算課税」という名称からもわかるとおり、結局は、相続時に相続税の課税対象となるため、一概に「節税対策に効果的である」と言うことはできませんが、「その財産を誰が承継していくのかを生前に明確にできる」などの理由で、生前贈与の活用が検討されます。
贈与者に相続が発生した際、相続時精算課税を適用して贈与を受けた財産を相続財産に加算して相続税の計算を行いますが、この計算の結果、相続税の基礎控除額以下であれば、相続税の申告は必要ありません。すなわち、特に、総財産を勘案して「相続税が掛からない」場合には、高齢者の財産管理の対策としても活用することが考えられます。
不動産の価額
建物 | 固定資産税評価額
・毎年、春頃に通知される「固定資産税納税通知書」に「証明書」が同封されていると思います。非課税の場合は、役所の「固定資産税課」などで証明書を取得できます。 |
土地 |
・倍率方式は路線価が定められていない土地に対する計算方法となります。 |
- 路線価は国税庁のホームページで調べることができます。
- 土地はさらに所定の計算方法によって算出します。
相続時精算課税制度の適用要件
- 贈与者は60歳以上の親・祖父母であること(住宅用取得資金の場合は、60歳未満でも認められる特例あり)
- 受贈者は、贈与を受けた年の1月1日において20歳以上であること。
- 自分の配偶者や親族などの特別の関係がある人から取得したものでないこと。又は、これらの者との請負契約等によって新築や増改築をしたものでないこと。
- 贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋を新築すること。
- 何度でも適用できる(非課税枠に満ちるまで)
- 相続時精算課税選択の届け出をする
サンプル見積もり
(税抜表示) | 報酬 | 実費 |
登記確認 | 332× 不動産の数 |
|
登記申請 | 53,000 | 評価額 ×0.02 |
登記原因証明情報 ・法務局提出の書類の他、保存用の贈与契約書の作成を含む | 10,000 | |
🔶(※)贈与者側に住所変更などが必要な場合の加算規程 | 7,200 | 1,000 ×不動産の数 |
申請郵送費 レターパック520×2 | 1,040 | |
合計 | 報酬総額① | 実費総額② |
消費税 | 税額③ | |
総額 | ①+②+③ |
メリット
- 一度に大きな金額・財産を贈与できる。
- 贈与者(父、母、祖父、祖母)ごとに選択できる。
- 選択していない者からは暦年贈与を受けられる。
- 相続時に相続税の心配がない場合は、結局、贈与税も相続税も掛からない。(登録免許税・不動産取得税は別途要)
デメリット
- 暦年課税が適用できなくなる。
- 不動産を贈与する場合は、登録免許税・不動産取得税が必要
- 一度選択すると変更できなくなる。
- 贈与時の価格で相続時に精算がされる。
- 直接的な財産を減らすことにはならない。
- 将来、相続放棄しても相続税の納税義務からは逃れらない。
- 物納ができなくなる。